No. 99　2009年5月　（2001年1月　開設）

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・飛山城跡を歩く


50.　薬師堂（１）　日光東照宮

日光東照宮の中で、一番大きな建物というと薬師堂になる。徳川家康は、薬師如来の生まれ変わりとされ、家康の本地仏である薬師瑠璃光如来を祀ってあるので、「本地堂」とも呼ばれる。家康公の母君が、三州鳳来寺の峰の薬師仏にお祈りして、家康公を授かった。また、それまでの戦乱の世を治め、泰平の基を築いて、国の病を治し、人々を苦しみから救った。薬師如来の再来といわれるゆえんとされる。東照大権現と神号が贈られ、薬師如来の再来と祀り上げたのは、徳川幕府の繁栄維持を策した天海を中心とした人たちの一大プロパガンダだったのだと、東照宮を訪ねながら思ってしまう。いま、観光客に知られるこの建物は、「鳴龍」の方で、薬師如来は意識されていないようだ。薬師如来に従う十二神将は見られるが、如来像は、扉の中で閉じられたまま。昭和36年、火災で焼失、43年復元し、鳴龍の絵も、昭和の画家、堅山南風作に替っているので、如来像有無もわからない。輪王寺の「木造薬師如来坐像」（円空作）を左に借りた。薬壺をもち、病も治ってしまいそうな表情がいい。 　 　徳川家康は、晩年、健康第一の薬好きだったという。医師と同等と自他ともに認めるぐらい薬に詳しかった。最後、医師の諫めにも逆らい、自ら調合した強い薬で、胃腸の病が悪化して亡くなった。胃がんだったのではという人もいる。生前、特別愛用していたのが朝鮮人参、いつも手元に絶やさないようストックしていたという。そして、身内や大名、家臣が病気になると、自ら見立てて、この人参を与えていた。権力維持にも利用していたようだ。 　朝鮮人参（高麗人参）の利用は古い。奈良正倉院にも残されている。徳川時代には、幕府の統制下におかれ、もっばら朝鮮から対馬を経由してのの輸入に頼っていた。民間にも渇望する人が増えて行き、輸入でまかない切れず、将軍吉宗の頃、国産化の試みが始まる。種を手にいれ、最初、栽培試験地に選ばれたのが、日光。1730〜40代になり、日光産人参が販売されるようになる。日光のどこだろうと探訪してみた。今の鹿沼市板荷の当たり、人参中製法所という幕府役所があったようで、墓所や記念跡が残っている。その後、日光から、野州、信州佐久、会津、出雲に、栽培地も広がる。 　今は、どうなっているだろう。ネットで探しても、ほとんど輸入品、地元名産品といった類の高麗人参セールというのは見当たらない。