No. 127　2011年9月　（2001年1月　開設）

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・飛山城跡を歩く

・鬼怒川縁の遺跡を訪ねる

・鬼怒川縁の遺跡を訪ねる
　　　
78.　川俣・平家跡

平家の落人が隠れ住んだ鬼怒川の山奥というと、湯西川と川俣があげられる。湯西川にあった平家塚が川俣にも二つある。 　瀬戸合峡に沿って車で上り最後のトンネルを抜けると、瀬戸合峡の展望台に出る道路が分岐する。ここにバス停「平家塚」、道路脇に「川俣愛宕神社」の標識があり、鳥居と石仏、そして囲いのある塚が並ぶ（写真上）。塚は平家落人武将の墓といわれ、大将塚と呼ばれている。訪れた時は、草が伸び、かき分けるほどの荒地の中だったが、ここでは、夏、愛宕神社の祭りがおこなわれていると聞く。 　もう一つの平家塚は、川俣温泉の間欠泉の鬼怒川下流、右岸の山の中にあるのが地図でわかった。しかし、どこから入れるのか分からず訪ねていない。この平家塚には、鎧かぶとや武具のほか黄金も埋められたといわれる。ただ、平家落人の遺物でもあり、塚に接すると、接した所がくさると伝えられ、近ずく人も少なかったようだ。今、ウェブで調べたら、最近、遊歩道が整備され、観光スポットに上がっているらしい。 　湯西川に比べ、川俣では、平家を観光の呼び物にしてはいないようだ。平家高原という場所があるが、今は「家康の里」と呼んでいる。瀬戸合峡の下、橋の近くの門のある分岐で、山に入ってゆくと、民宿のある野門の集落に出る。浴場「家康の湯」が中心、集落の一角に、石段上の栗山東照宮（写真下）がある。 　戊申戦争の折、日光に立てこもった幕府軍を追って総攻撃が展開される。会津方は、日光東照宮境内の宿坊に祀られていた「男体山三社神体」と「徳川家康公の御神体」を密かに会津若松城に移そうとした。途中で会津若松城が攻撃されていることを知り、この栗山・野門村の小栗久衛門に守護を託した。 　今、東照宮の扉は閉ざされたままで、訪ねても御神体の拝観はできない。集落も、平家の影は薄く、家康一色になっている。